黒腐菌核病(くろぐされきんかくびょう)


【病原体】
- 糸状菌(カビ)の一種で、土壌病原菌です。ネギ属植物に感染発病します。
【診断のポイントと症状】
- はじめ越冬前後の根に感染・発病し、やがて株全体が腐敗するようになります。
- 連作地の耕盤ができて水が溜まる箇所は坪状に、土壌水分が高い圃場ではほぼ全体に発生します。
- 越冬前に感染した根は水浸状に変質し、腐敗します。種子鱗片が腐敗すると、白い綿状のカビ(菌糸)に覆われ、やがて黒変して、よく見るとゴマ粒状の黒い粒(菌核)が観察できます。地上部に出た葉は、春腐病のように軟化腐敗します。
- 越冬後に感染した根も、上記と同様に水浸状に変質して腐敗します。
- 根の腐敗程度が軽い株は、下葉が先端から黄く変色し、順次、黄変症状は上の葉へと広がっていきます。程度が激しくなると、下位の葉は枯れていき、地上部全体が萎れて、やがて株全体は枯死します。地下部は腐敗して、地下部の腐敗したところに菌核がみえるときがあります。
【発生の原因】
- ニンニクなどネギ属植物の連作地で、本病の発生が多くて土壌中の菌密度が高い圃場で発生します。
- 耕盤ができて水はけが悪くなっている箇所、または水田転作地などで排水が不良な圃場で多発しやすい傾向があります。
- 適切な処理法で種子消毒を行っていない種子を植付けた圃場で発生する場合があります。
【対策と防除】
- ネギ属植物以外の作物や緑肥植物を組み合わせて輪作した圃場で栽培すると菌密度が低下して、発生抑制に有効です。ニンニクを2作以上休ませることをお薦めします。
- 深耕(プラソイラー、サブソイラー)で耕盤を壊して、水が溜まらないように排水対策を必ず実施しましょう。特に、プラソイラー耕後の施肥や整地の耕起回数は数回程度にしましょう。
- 種子消毒をしたものを植え付けます。
- 発病初期の株を早めに抜き取りましょう。