春腐病(はるぐされびょう、軟腐病:なんぷびょうも含む)
【病原体】
- 病原は細菌の仲間で、数種類の細菌が知られています。
【診断のポイントと症状】
- 主に、葉や葉鞘(茎)に発生します。
- 組織がとろける様に柔らかく腐敗して、腐敗臭がします。
- 最後の葉(止め葉)やトウが出る頃になると、葉の隙間や裂けた葉鞘から雨水と一緒に病原細菌が下の方に流れ落ちて、葉鞘の内側が赤紫色のカサブタ状に変質します。
- 掘り上げた鱗球の肩が裂けたり、葉鞘基部(鱗球の根の付け根部)が剥離したりします。
【発生の原因】
- 葉や葉鞘にある裂傷や虫の侵入孔などの傷口に、降雨ではねた泥が付着して、泥中にいる病原細菌が感染して腐敗となります。
- 窒素肥料が多い畑や水たまりができるような箇所では発生しやすいです。
- 20g前後の大きい種子を植えた場合、発生が多くなることがあります。
- 堆肥など有機物を仮置きした箇所で発生しやすいこともあります。
- 泥がはねるような降雨が続く、雨が多い年は発生が急増する場合があります。
- チューリップサビダニが寄生した種子を植付けると、発生が多くなることがあります。
【対策と防除】
- チューリップサビダニの寄生がない健全種子を使用します。
- 窒素肥料は適正量を施しましょう。特に、ウイルスフリー種子や20g前後の大きい種子の場合には施肥量を少なめにして、生育に合わせて追肥しましょう。
- 薬剤防除は、予防散布が重要です。葉の表裏や茎など全体に付着するように丁寧に散布しましょう。
- 降雨が予想される時は、予め散布して薬剤を株全体に付着させておきましょう(抗生物質剤を散布しても、期待するほどの治療効果はない)。
- 症状がひどいものは、他への伝染源となりますので、抜き取って圃場外に処分します。